対談

【対談】 デジリハ× 投資家 One Capital株式会社 取締役COO 坂倉亘氏

株式会社デジリハでは、2024年10月にプレシリーズA2ラウンドの資金調達を実施しました。出資いただいた投資家の一人、One Capital株式会社取締役COO 兼 ジェネラルパートナー 坂倉亘さんをお迎えし、デジリハとの出会いから出資に至った背景、投資家の立場と経営支援に懸ける思いを、代表の岡との対談を通じて率直に語っていただきました。

 

One Capital株式会社:取締役COO 坂倉亘
https://onecapital.jp/
慶應義塾大学卒業、経営戦略コンサルティング会社を経て、ボストン・コンサルティング・グループ (BCG) に参画。マネージングディレクター&パートナーとして、消費財、産業財、メディア、通信などの幅広い業界の企業に対して、デジタル・トランスフォーメーションを主導。オープンイノベーション、新ビジネスモデル構築、全社的構造改革、ポートフォリオ再構築、営業改革などのテーマで、デジタルを活用したハンズオン支援を推進。 2020年にOne Capitalを共同創業し、取締役COOに就任。多数の大企業とスタートアップのアドバイザリーを担い、日本のデジタル・トランスフォーメーションの加速化のために、日々実務の前線に立つ。エン・ジャパン株式会社社外取締役。2022年に株式会社COTENの社外取締役に、2023年4月にはアガサ株式会社 社外取締役に就任。

株式会社デジリハ:代表取締役 / CEO 岡 勇樹
東京で生まれ、3-11歳を米国サンフランシスコで過ごす。訪問介護員・障害児移動支援従事者として現場で働きながら29歳でNPO法人Ubdobeを設立し代表理事に就任。35歳で東京オリンピック・パラリンピック競技大会推進本部ユニバーサルデザイン2020関係府省等連絡会議構成員選出。36歳で日本財団2017年度ソーシャルイノベーター選出。知的障害児の父。

 

初めての出会いは共通の知人を通してオンラインで初対面
醸し出される岡のオーラは…

坂倉:僕がデジリハを知ったのは、知人からの紹介です。「坂倉さんが好きそうなスタートアップの経営者がいるから一度会ってみない?」と誘われて、岡さんとの初めての打ち合わせはオンラインでしたね。

岡:その知人というのが弊社の財務面や投資関連でデジリハに携わってくれている僕が信頼している人物で、「VCの坂倉さんを紹介したいんだよね、岡くんに絶対合うから!!」と言われて、(オンラインで)会うことになったんです。

坂倉:画面越しで初めて岡さんに会ったときは、ソーシャルビジネスとはかけ離れた風体の人が画面に現れて、「ラグビーのスタートアップ企業?」みたいな感覚に襲われました。

岡:全くラグビーはやってないです(笑)。

坂倉:画面越しで初めて話すけれども熱意が伝わってきましたね。岡さんはとにかく野心がすごい。

事業を加速化させるもの
社会を変えたい想いとメンバーの原体験

坂倉:ソーシャルビジネスはスケール(事業拡大)しにくいんですよね。僕たちは高いリターンを目指すVCなので、「いいことをやってるから、彼らを応援したい、だから投資しよう」という簡単なロジックでは、投資できません。社会に貢献するビジネスをしていても、事業成長していく部分が語れないと、「このビジネスは本当に儲かるの?」と突っ込まれてしまいます。

でもデジリハは違います。メンバーや当事者家族の原体験を元に、いいことをしてビジネスとしてちゃんと回していく。岡さんからギラギラした熱意を感じるんです。
デジリハは、社会にとっていいことをやっているだけじゃなくて、原体験を持っている仲間がいて、一緒に変えていきたい世界があるというのは本当に事業を成長させていく上で大事な部分になります。
会社の成長性だけで集まっている組織より、”社会を変えたい” 強い想いや意思を持った仲間がいる企業は伸びます。

岡:これまで某大手コンサルティング会社出身や商社出身の投資家さんにお会いしてきて、僕たちの想いを熱意もってお話してきたんですが、すれ違う感覚があると投資に至らないこともあります。初回の打ち合わせ(オンライン)は、坂倉さんが移動中だったので画面が途中で消えることもあって…。最終的には声だけの参加になってしまったんですが、声だけでも坂倉さんの人柄が画面越しからめちゃくちゃ伝わってくるんです。
数字や文章、ロジックだけではなく、僕らの事業を”人間として”理解してくれている。だから、僕も感情をむき出しにして話をした記憶が残っています。

ビジネスとインパクトの両輪で世界中に届ける
施設訪問で現場を見て投資を決意

岡:もちろん坂倉さんからビジネス視点で鋭い質問もありました。その上でも坂倉さんは僕たちの事業や思いを感情的に聞いてくれるんです。打ち合わせ終盤に、「岡さん。今日はありがとうございました。積極検討させていただきますので、また連絡しますね。」という形で初回の打ち合わせが終わり、僕はそこで初めて、”積極検討”という言葉を耳にしました。初めての対面が画面越しだったけど、僕らの事業とハート(気持ち)の部分、両方を理解してくれたことが伝わってきて、めちゃくちゃかっこ良かったんです。

坂倉:申し訳ないですが、正直デジリハのことは何も知らなかったに近いので、必ず投資する前提で打ち合わせには入っていないです。もちろん打ち合わせ直前はサイトに目を通してはいます。僕たち投資家が新しい起業家さんたちと打ち合わせする回数は、年間100回以上。事前に時間をかけて企業調査することは現実的に難しいんです。だからこそ一発目の打ち合わせで、事業の魅力をどれだけ伝えてもらえるかが大事。初回の打ち合わせであんまり事業を理解できなければ、2回目に伺うアクションはほぼありません。初回の1時間が勝負です。
岡さんのお話を伺いながら、並行してnoteに掲載しているユーザーインタビューに目を通しました。メンバーには原体験があり有資格者がいる。そして現場を変えていきたいという思いがある。現場を変えるために、デジリハというプロダクトがある。
現場に変革を与えることで顧客の売り上げが上がり、顧客のコストが下がる。僕の中ではビジネスの循環が綺麗に流れる構図が描けました。これが例えば、単に喜んでプロダクトを使ってくれて、離職率が下がるだけのビジネスだと投資は厳しいんです。デジリハは、「顧客の経済性にインパクトが出せる」と、ビビっときたんですよね。

岡:一緒にデジリハユーザーのリハビリ病院に訪問しましたね。

坂倉:直接施設に伺い、リハビリの先生のお話を聞いて、実際にスタッフが活用している場面も拝見しました。プロダクトの質としては、センサーにタッチした時の反応の早さをみて、スタートアップ企業のフェーズとしては十分だと確認できました。プロダクトの改善点や課題点は岡さんのギラギラした目つきから向上していくと思いましたし、デジリハが加速していく未来が見えたので、ユーザーさんの直接訪問を経て出資に至りました。

スタートアップはボロボロの沈みそうな船のイメージ
船旅ができるかは”お互い役に立つか”

坂倉:何度かお話していくと、その人の”人柄”が見えてくると思うのですが、岡さんは猪突猛進型の起業家です。事業を積み上げていくことは大丈夫だと。ただマーケット全体を俯瞰した時の戦略やマーケティングアプローチは、僕たちがいることで、役に立てるんじゃないかと思ったんです。僕自身がコンサルティング出身なので、業界の知識を知らないが故の客観的視点が本当に役に立つのかは、岡さんと食事をしながら議論を重ねましたね。

岡:坂倉さんの”役に立つのか”が重要なキーワードで、凸凹がピッタリとハマるかどうかの視点はいつも持っています。会社のフェーズも変わっていくので、成長を意識しながら、セールス、マーケティング、開発を伸ばしていかないといけない。坂倉さんとお話ししているときに、「役に立つぞ」みたいな感じではなく、僕らの凹に坂倉さんが凸としてハマる。これが成長するイメージになったんですよね。

坂倉さんの経歴がすごいので、僕の勝手な先入観でアドバイスが上から目線で来るんじゃないかと少し心配していたんです。はじめから言葉遣いから対等で、何ていうんだろう…、ラグビーでいうスクラム組んでいる感じ。ラクビーはやったことないけど(笑)。

投資家として1番初めに入ってくださったのが株式会社talikiです。代表の中村多伽さんも同じで、とにかく対等に話ができるかを重視していました。僕がイメージするスタートアップの会社は、ぼこぼこの穴だらけの浸水している船なんです。ボロボロの船で社員を雇い改修工事しながら目的地に向かっている。この船にただお金を出すだけの投資家さんは今のタイミングでは違うなと思うんです。沈みそうな船に一緒に乗り、穴があいていたらトンカチで”トンカン”しながら、目的地へ向かっていく。僕が間違った方向に進みそうになったら、「あれ?そっちでいいんだっけ?」と軌道修正してくれる。
船を一緒に作り上げて、目的地まで向かえる感覚がないと、沈みかけの船に巻き込められないんです。きっとここが先ほどの”役に立つ”に繋がると思うんです。
デジリハの船に合わなければ、一緒に乗ってもらうのは勿体無いので、話を途中で切り上げて終わることもあります。本当にありがたいことに、投資家さんたちから「検討しますね!」とおっしゃっていただく機会が増えました。でも目的や方向が違うのであれば断っています。

坂倉:投資家として僕らは、”役に立ちたい”と思っているんです。ただ馬券を買って終わりではなく、一緒に良い馬を育てていく感覚で、起業家たちと一緒に仕事していきたい。もし僕たちがデジリハに投資してお役に立てないのなら、他の投資家でいいと思います。お互いに心地よく仕事をしていけるかも重要なんですよね。

岡:心地よく仕事をしていけるかという観点では、採用に関して僕らは人柄をかなり重要視しています。「すごい実績や経歴」は最優先事項じゃないんです。いい奴かどうか。

坂倉:本当そうですよ。人生は短いので、僕もいい人たちと仕事をしていたい。

現場の声が開発に活かされる
メンバーとプロダクトに対する岡の想い

岡:ここ3年でプロダクトに対する具体的なイメージはついていますが、「こんなものが実現したらいいな」と漠然とイメージしたものを伝えて、それを具体的に落とし込んでくれるのが、取締役の仲村です。仲村からは「じゃあ、こんな仕組みにしたら医療福祉の現場でも使えて、障害児者や高齢者の家族も使いやすいし本人も嬉しいよね」と仕様を考えて詰めてくれるんです。僕が描いていることは漠然としているんですが、仲村が理学療法士として培ってきた現場の経験や知見があってこそ、開発に活かされています。AI技術を取り入れる話や議論をすることもあり、想像を遥かに超える理想のロジックモデルが表現できてきました。

実際、現場にいくと理想と現実のギャップに直面し、まだまだ恥ずかしい面もたくさんあります。現場からの期待と要望に対して、至らなさを感じてしまうのです。デジリハを活用いただいてるからこそ、「こう改善してほしい」「こんな機能が欲しい」という声も上がり、「開発進めているので、もう少しだけ待っててください」と待たせてしまい、現場を回っては謝ることもたくさんあります。そういう意味で、戒めながら開発に取り組んでいます。

営業やマーケティング、広報面では、とにかく日本全国の人たちに届けたい。坂倉さんがおっしゃったように、マーケット全体を見据えて、リードを獲得してアポイントに繋いで…と戦略的にやっていかないといけない。普通のスタートアップ企業だと社長が旗振って率いていくことが多いと思うんですけど、デジリハでは仲村が現場も見て、戦略を考えるブレーンの存在です。あくまでも僕は役員とメンバーについていかせてもらっている感覚ですが、日本全国、世界各地にも広げていきます。

スタートアップCEOに共通していること

坂倉:そこでいうと、僕が考えるCEOにしか絶対にできないと思っていることは一つだけあります。これは取締役の仲村さんや他のメンバーではできないかもしれない。
成功するスタートアップのCEOに共通しているのは、”出す結果を決めること”です。

出す結果を決めるというのは、結果が出るまでやる。それだけです。
「結果が出るまでやります。以上」

これが決められるのはCEOだけです。ゴールがふわっとしていたら、どんな組織にいても事業の成功や拡大は厳しい。事業を立ち上げると、雲行きが怪しくなったから違う方向へ事業転換し、ゴール、結果を変えるCEOもいます。これは言い換えると、出す結果を決めていないことなんです。でも岡さんは出す結果を決めている人。10年15年経っても変わらない。僕はそう信じています。

岡:僕の場合は、自分の子どもが障がい児なので、自分の死後の世界を考えていかないといけない。これまでの福祉施設での現場経験やデジリハでの施設訪問から、障がい児者、リハビリが必要な人、高齢者の方々が社会の中でどうしたら楽しく生きていけるかを考えることが多く、楽しいリハビリコンテンツ作って終わりでは意味がないと思っています。

もちろんIPOも視野に入れています。でもそれは通過点であって、デジリハで培ったデータベースを育て、障がい児者の「インフラ」のようになりたいと考えています。
最終ゴールは自分が死んでも、自分の子どもを含め、障がい児者、リハビリを必要としている人たちが楽しく生きていける世界を実現できるかにあります。

プレシリーズA2ラウンド航海記の幕開け
デジリハをどんどん普及していく、させていきたい
投資家と起業家の想い

坂倉:プロダクト観点では、デジリハの導入は難しくないんです。利用を始めるにあたり、デジタルリテラシーは低くても対応できます。SaaSのプロダクト(Software as a Service)でいうと、権限設定の仕方や過去の履歴の見方、リロードの仕方と、複雑でカタカナ表記がいっぱいですけど、本当にデジリハは簡単です。リハビリを必要としている施設さんは、どんどん使えばいいと思います。僕たちもデジリハの船に乗り始めたので、どんどん普及していきたい気持ちでいます。引き続きよろしくお願いします。

岡:One Capitalさんとはご一緒して2ヶ月目。長い旅路が始まったばっかりです。僕はしつこいので、わからないことは全部質問するし、坂倉さんが持っている知識やマインドはとにかく吸収します。最大級の成長を遂げることを目指していくので、よろしくお願いします!本日はありがとうございました。

2024年12月12日掲載

▼10月にプレシリーズA2ラウンドの資金調達を実施しました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000032.000095667.html

▼現在デジリハの船に乗って一緒に航海してくださるメンバーを募集中です!
https://www.digireha.com/news/recruit_field_sales/

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