【ユーザーインタビュー】南山リハビリテーション病院 様
デジリハって実際どんな施設で、どんな風に使われているんだろう?そんな疑問の声にお応えして、デジリハユーザーを紹介していきます!今回は、2021年10月に東京都稲城市に開院した、南山リハビリテーション病院のリハビリテーション科統括リハビリ科長の田中先生です!
田中先生は麻生総合リハビリ病院から、南山リハビリテーション病院*に移り、こちらの病院でもデジリハを導入いただきました。導入した理由やリハビリ病院だから使えるデジリハの魅力についてお伺いしました。
(以下、南山リハと略)
以前の田中先生の記事はこちら
ーー南山リハではどのような方にデジリハを活用いただいていますか?
認知機能のしっかりしている方だけではなく、認知機能が衰えている方や覚醒度が低い方、高次脳機能障害の方にも、デジリハをリハビリとして活用してもらっています。認知機能が衰えている方に「今日は輪投げをやりましょう」と提案しても、なかなかやってくれないこともありますが、デジリハで「スクリーンに(忍者が)出てきたら触ってね」と促すと、自らと手を伸ばしてタッチしてくれるので、手足のリハビリに活用できています。理学療法士や作業療法士が普段から使ってくれていますし、高次脳機能の訓練として言語聴覚士も活用してくれています。
ーータッチすること自体がリハビリに繋がっている。普段はどんなアプリを使うことが多いでしょうか?
「忍者でドロン!」を使うことが多いですね。忍者を出現させる場所を設定できるので、届く範疇に設定します。認知症以外の方でも楽しんでくれていますね。
「もろこしパーティー」もリハビリに抜群のアプリです。落ちてくるとうもろこしにタッチすることは認知症の方に取ってはなかなか難しいんですよね。タッチするタイミングがズレる傾向があり、手を伸ばしてタッチする”タイミング”を把握する運動に繋がっていると思っています。
アイトラッカーTobiiの「視線でバキュン!」や「めぢからすくい」なども使っています。目の訓練を、ゲーム感覚でプレイできることはデジリハならではだと思っています。麻痺などによって眼球が動かしづらい患者さんにも使えることは大きいです。
ーーデジリハを導入して約2年が経つと思いますが、デジリハを導入した当時のことは覚えていたりしますか?
正直いうと、導入時はすぐには活用できていなかったんです。単純に新しいものを導入するので、使い方がわからない、センター内でも広まらない。初めは、外来担当の理学療法士や入園担当の作業療法士など、小児担当の各科から代表セラピストを一人ずつ集めて「デジリハLab(デジリハラボ)」という名の精鋭チームを結成し、チーム内で使い方をレクチャーしたり活用方法について定期的にミーティングをしたりしました。実際に現場でちゃんと使ってもらうまでに、2〜3ヶ月くらい時間がかかったと思います。
このチームは1年間限定のチームだったのですが、最後に実施件数やデジリハを活用した報告会も実施しました。最初はどうなるかな?と不安に思っていた時もあったのですが、超ベテランのチームメンバーがリハビリツールとしてたくさんのお子さんに活用していて、一番使いこなして、たくさんの報告をしてくれたのがすごく嬉しかったです。子どもたちにとって最善で楽しいツールを見極めて、すぐに使いこなすことができるベテランセラピストの背中を見せてもらうこともできて、やっぱり先輩はすごいなと素直に感じました。
ーーデジリハを活用してみての何か気付きや発見はありますか?
最初はこんな楽しいリハビリ機器があることに驚き、興味を持って体験したがるお子さんが多かったです。一度やってみると、「次も遊びたい」「触りたい」と前のめりになるお子さんが増えたと思います。リハビリで機嫌を悪くして泣いてしまう子もいて、モチベーションが低いお子さんには、デジリハから開始してリハビリに取り組んでもらうような流れにすることもあります。今までの不機嫌が嘘のように、表情が180度変わり、気持ちが切り替わって遊び始めるので、心の変化が目に見えてわかるんです。
ハマる子にはすごくはまっているんです。セラピストがこんな動きをしてもらいたいという動きをしてくれるんですよね。タッチする指や腕の動作やアニメーションを見ながら横に動いて、触ったり。ジャンプしたり。
「そらの水族館」はみんなのリアクションがとてもいいです。オブジェクトのレイアウトを変えて、車が好きな子には車だけ出したり、背景を黒にしたりして、その子に合わせてカスタマイズできるので、すごく集中して取り組んでくれます。「忍者でドロン」は“戦う”要素もあって、特に男の子は熱中するんです。
集中できない時とか、機嫌を損ねちゃった時には「じゃあデジリハやってみる?」と声掛けすると、さっきまでの様子が嘘のように興味津々の表情になったりして。デジリハの部屋に入って、画面が切り替わると、気持ちも切り替わって、表情も変わるんです。
南山リハビリテーション病院では、デジリハを病棟のスペースに設置しています。スタッフステーションからも見える位置に配置しているので、セラピストたちをはじめ、医師や看護師、リハビリ中の患者さんやご家族にも見えるようになっています。
南山リハビリテーション病院の特徴は、入院生活のすべてが開放的なワンフロアとなっていて、スタッフステーションから、リハビリテーション室・食堂・トイレ・廊下などすべてが見渡せる病棟です。
https://minamiyama-hp.jp/floor/
各病棟で作業療法士は6~7名ほどいらっしゃり、患者さんはご高齢の方が多いとのこと。病棟かリハビリ室のどちらかに配置するかで検討していた結果、たくさんの方の目に触れる院内スペースに設置することになったと田中先生は話します。
この日は、一人の患者さまが訓練の一環で「忍者でドロン!」を活用していました。
田中:座位だけでなく立位でもリハビリにつながるように高く設定したり、バランスをとる練習もしていますね。ある程度安定感がある方でないと危ないので、バランスを取るリハビリはセラピストがサポートしながら行っています。一歩踏み出したり、ちょっと遠くに手を伸ばすことは座位でも立位でもできます。
忍者の配置設定や秒数も患者さんの動きに合わせて、セラピストが調整します。
1回目は忍者が出てきてからタッチするまでの秒数(インターバル時間)を少し長めに設定していましたが、意外と俊敏に忍者にタッチができたので、徐々にインターバル時間を短く設定し、プレイしてもらいました。
田中:リハビリ専門の病院では、セラピストとリハビリをしていない時間も患者さんにとってはリハビリになっているんですよね。リハビリ時間以外に看護師さんが病棟で訓練する病院も多いと思います。「トイレまで歩きましょう」「スクワットしましょう」など、いわゆる単調な体を動かす動きが多いんです。これはこれで効果はありますが、患者さんからすると少し物足りないんじゃないかと僕は考えています。看護師さんが行うリハビリも、デジリハのように遊びを取り入れながら身体を動かす方が、患者さんと看護師さんの両方が楽しんで取り組めると思います。
デジリハを取り入れたことでの変化
デジリハを導入したことによって、病院に見学にくる就活中の学生さんやセラピストの反応が良かったと思います。病院を案内する時にも、触ってもらうと結構びっくりされます。
デジリハは人の目に入りやすい場所に設置してあり、セラピスト、看護師たちが普段からこの通路を通るのでリハビリの様子を見てもらいやすい。また面会でいらっしゃるご家族さんの目にも止まりやすい場所に設置しているので、デジリハを使っているところを見てもらえて興味を持ってもらいやすいですね。
回復期病院でいうと去年の6月の診療報酬改定で、骨折などの運動器疾患患者さんのリハビリ時間が1時間ほど少なくなっています。その1時間分をどう取り戻すかは、病院さんによって工夫していると思うのですが、看護師さんたちがその時間で運動を行ってくれることはとても助かります。ゲームしながら複数人で遊びながらリハビリができるのは、「そらの水族館」「忍者でドロン」「もろこしパーティー」が適していると思っています。
リハビリ病院ならではのデジリハの強み
やはり運動量を増やせることだと思います。腕や脚を単純に10回伸ばす作業を、デジリハだと設定した時間だけゲーム感覚でみんな必死に取り組んでくれるので、気づいたら10回以上やってくれていることが多いです。やり方によっては身体全体を動かす運動を行うこともでき、どの部分をどう動かしてもらうかを考えることで、幅広い運動を促すことができます。
まずは院内にしっかり普及させていく
麻生リハビリ総合病院にいた時から、デジリハは看護師に触れてもらいたいと思っていました。デジタルツールは我々スタッフが実際に触れて理解を深めていかないと、利用者さんに良さは伝わらないし、取り組んでもらえない。まずは院内の看護師、セラピストにリハビリ時間以外の時間帯にどんどん活用してもらえるよう、病院内でしっかり波及させていきます。
南山リハビリテーション病院:https://minamiyama-hp.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/minamiyama_reha/
更新日:2025年3月12日
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